プロローグ こんな生活も夢じゃない!
第1章 タックスヘイブン法人をつくる前に知っておきたいこと
本当に無税なの?
タックスヘイブン法人の会社形態を知っておこう
第2章 さあ、タックスヘイブン法人を設立しよう
タックスヘイブン法人設立代行会社を選ぶ
1 会社の登記書(Certificate of Incorporation)
2 定款(Memorandum and Articles of Association)
3 取締役の決議書(Resolution of the Subscriber)
4 取締役会決議-同意覚書(Meeting Resolution – by Consent Memorandum – Sole Director)
5 株券(Share Certificate)
6 株主名義人宣言書(Nominee Shareholder’s Declaration)
7 遺言書(EXPRESSION OF WISHES)
8 取締役変更決議(Meeting Resolution by Memorandum, sole Director)
9 取締役退任公告(DIRECTOR‘S RESIGNATION NOTIFICATION)
10 株式譲渡確認書(SHARE TRANSFER FORM)
11 代理人決定決議書(Meeting Resolution-by Consent Memorandum-sole Director)
12 代理人契約同意書(POWER OF ATTORNEY AGREEMENT)
13 代理人契約書(POWER OF ATTORNEY)
14 名義人契約(MANAGEMENT SERVICE AGREEMENT)
第3章 法人銀行口座を開設しよう
法人口座開設のステップ
インターネットバンキング
第4章 タックスヘイブン法人の落とし穴
こんなデメリットがある
他社との契約の度に書類が必要
ランニングコストの存在
電話が通じない?
銀行のサービス内容
銀行の手数料
第5章 タックスヘイブン法人でどんなビジネスができるか?
日本では不可能なビジネスにも挑戦できる
FX会社の経営をする
オンラインカジノを経営する
銀行家になろう
ネットで完結するのが理想
リアル事業は代行を使う
子会社をつくる
日本に下請け会社をつくる
法人口座を開設して株やFXに投資する
オンラインカジノで稼ぐ
海外ショップのアフィリエイトとして収入を得る
FX会社のアフィリエイトがおすすめ
ドロップシッピングの仕組みを活用する
海外向けのオークション販売をする
スマートフォンのアプリ開発
代行サービスを提供する側になる
動画を配信する
第6章 会社設立後のことも考えておこう
会社の運営はすべて代行に任せる
ホームページを開設しよう
海外オークションサイトを活用しよう
在庫管理と発送代行
集金手段を考えておく
現金化手段も考えておく
タックスヘイブンに会社をつくって節税する、個人事業レベルでこれができたらと思っている人は少なくないでしょう。本書は、著者の実体験に基づいて、タックスヘイブンへの会社設立の実務から現地銀行法人口座開設の仕方までを懇切丁寧にお教えします。また、何か副業を始めたいという人のために、タックスヘイブン法人でビジネスを始めるとしたら、どんなビジネスができるかについても検討しています。副業を考えている人、すでに副業で稼いでいる人、必見です!
【前書きから】
はじめに
タックスヘイブンを知ったのは、ザ・ファームという映画でした。ハーバード大学のロースクールを優秀な成績で卒業したトムクルーズ扮する青年が就職した法律事務所のオーナーが、実はマフィアで、マネーロンダリングをしていて、いつの間にかFBIとマフィアの双方の戦いに巻き込まれていくという内容でした。その映画の中でグランド・ケイマンというカリブ海に浮かぶ島にある港付きの別荘が出てきたのを覚えています。
この映画の設定にあるように、タックスヘイブンというのは税金が免除されるだけでなく、匿名性や秘密保持が徹底されているため、マフィアの麻薬取引や武器商人達の資金洗浄(マネーロンダリング)に使われていたと言われています。
実際、タックスヘイブンの会社を通した取引がいくつか重なると、資金の流れの追跡が限りなく不可能になります。
このように、脱税とかマネーロンダリングに悪用されてきた歴史を持つため、タックスヘイブンに会社を持っていると聞くと、何か悪いことをしているかのようなイメージを持ちます。
しかしながら、石油メジャーや大手銀行、化学会社、食品メジャー等のグローバル企業は、総じてタックスヘイブンに子会社を持っていて、租税回避(節税)をしているようです。
そして、タックスヘイブンを使った節税方法を考え出して、大手企業に普及させているのは、大手の会計事務所です。つまりタックスヘイブン=「悪」ということではなく、グローバル企業であれば当然利用しているスキーム(しくみ)なのです。
ところで、タックスヘイブン(Tax Haven: 租税回避地)は、タックスヘブン(Tax Heaven: 税金天国)ではありません。ただし、税金がかからないという点では大差はないと思います。
タックスヘイブンとは、通常オンショア(その国や地域の内)での経済活動に対しては課税対象とするものの、その国や地域で登記された企業であっても、オフショア(その国や地域の外)で得た利益に対しては課税しないという税制をとっている国や地域のことです。
ここで地域と言っているのは、例えば米国でもデラウェア州が州税を免除していますし、マン島、ジャージー島、英ヴァージン諸島等はイギリスの国内であるものの、法人税がゼロになるからです。
では、どうして税金を取らない政策をとるのでしょうか?
原油による莫大な収入源を持つアラブの産油国を除けば、どこの国や地域であっても、本来であれば住民や企業から税金をとらない限り、予算を調達できないと考えるのが普通ですよね。
実は、タックスヘイブンの国や地域は、通常は外国企業にとってほとんど魅力のない場所で、グローバル企業がお金を落とすことはまったくないであろう場所です。そこで、タックスヘイブンの税制を取ることで、世界中から税金を減らしたい多くの企業を誘致し、法人税の代わりに登記料を払ってもらうのです。
登記料は非常に安価ですが、そもそもタックスヘイブン税制を取らなければ、他国の企業がお金を落とすことはないのですから、タックスヘイブン税制を採用したほうが歳入が増えるというわけです。
さらに、オフショア法人設立代行等の免許を現地企業にのみ与えることによって、タックスヘイブンに起業する際の事務処理を行うための雇用が国内に生まれるというメリットもあります。
このように、タックスヘイブンを採用している国は、マフィアや武器商人に魂を売った犯罪国家でというわけではなく、資源を持たない小さな島国が豊かになるための政策として知恵を絞った結果なのです。
こういった国に法人をつくって、その法人がその国の外で経済活動を行うことは、犯罪でもなんでもないということがおわかりいただけたかと思います。あなたがタックスヘイブンに会社を設立することも同じで、別に怪しいわけでも、法律に違反しているわけでもないのです。
なお、本書はあなたに脱税を勧めるものではありません。日本に税金を支払わないで済む方法を紹介しますが、その容易さと欠点の両方を紹介していきます。あなたの望む生活や、あなたのやりたいビジネスによっては、もしかしたら普通に税金を支払うほうが得かもしれません。
結果的にタックスヘイブンに会社を設立する意味があまりないという方であっても、何が容易で何がイマイチなのかについて、明確になると思います。 タックスヘイブンに対する幻想を消してもらい、選択肢の一つとして検討してもらうことで、あなたの起業に対する可能性を広げてもらえることを期待しています。
2012年 2月 著者
スティーブ金山ブログ
twitter:@stvkane