はじめに 復活した日本株でシンプルに儲けよう
序章 本格上昇相場で資産を着実に殖やすために ~シンプル・トレードのすすめ~
■記録更新ラッシュの大相場だが…
■株式投資は「安く買って、高く売る」だけ…
■なぜ、高く買って安く売るハメに陥るのだろう
■本格上昇相場だからといって安易に構えてはいけない
■資産づくりを目指す株式投資でもっとも大切なこと
■値上がりした株は“ジョーカー”である
1章 “素直な素人さん”が儲かる理由 ~利益を稼ぐか、損をこうむるか!? 違いはこれだけ~
■“素直な素人さん”は儲かる!
■だれにでも利益を上げやすい相場がある
■ビギナーズ・ラックが続かない理由
■“素直な素人さん”が“ただの素人さん”に変わるとき
■“ただの素人さん”の報われない努力
■“儲かる株”を探しはじめたときが危ない!
■儲ける投資家と損する投資家の投資行動はどこが違うのだろう
■“ただの素人さん”が陥る悪循環
■利益と損失の分かれ道
■“ただの素人さん”の損が“素直な素人さん”の儲け
■勝ちやすい相場と勝ちにくい相場
■日経平均で読む3つのトレンド
■失敗する確率が高い相場には近づかないにかぎる
■トレンド分析がすべての基本
■儲かる確率の高い相場の選択
■第一歩は「安く買って、高く売る」から始まる
■“ただの素人さん”が引き寄せたもの
■難易度が高ければしくじるのは当たり前
■個人投資家の売り下手、損切り下手は本当か
■“塩漬け株”がもたらす悪循環
■ “素直な素人さん”の利益が長続きしない本当の理由
2章 “ただの素人さん”の大きな誤解と三つの刷り込み ~個人投資家の現実を検証してみよう~
■最高の投資チャンスなのに!
■日本株の底入れを予測した根拠
■個人投資家が動かない!
■動くに動けない個人投資家の事情
■18週連続で売り越した現実
■個人投資家の目が肥えない理由
■“儲かる銘柄探し”がダメな理由
■負ける投資家の致命的な誤解
■損失スパイラルの元凶は三つの刷り込み
■株式投資を個人ビジネスと位置づけよう
3章 悪循環を断ち切るヒントをつかもう ~「儲ける投資家」と「損する投資家」を比較して見えること~
■悪循環を断ち切るヒント
■出口が見えない悪循環にはまりこんだら…
■相場が一巡するとまた元の場所に…
■損失スパイラルに陥る原因はどこに
■ヤレヤレ売りで回収した資金が向かう先は…
■モチベーションの低下と資金不足がもたらすもの
■絶対に欠かせない“安く買う”準備作業
■悪循環から抜け出すタイミングはワンチャンス
■損を見切る勇気と次の買い場を待つ忍耐
■自分と正反対の行動をとる投資家をいつもイメージしよう
〈参考資料〉相場の各ステージごとに「【A】儲ける投資家」と「【B】損する投資家」の投資行動を細かく比較してみよう
4章 安く買って高く売るシンプル・トレードを手に入れよう ~資産を殖やす“好循環”を実現する唯一の方法~
■資産をつくる株式投資の“カタチ”を考える
■資産はこうして殖えていく
■継続を脅かすリスク
■ “利益サイクル”の継続を支える3本の柱
■易しさを持続させる仕組み
■資金を“つなぐ”仕組み
■モチベーションを維持する仕組み
■「安く買って、高く売る」を実現する3つの工程
■底値を狙って、買えるか?
■なにが株価を動かすか?
■株価を動かすマーケット全体のエネルギー
■株式市場のエネルギーってなんだろう
■勝つ確率の高いタイミングを読む
■買い遅れたときは、ただ次の買い場を待つ
■待ちに待った買い場の読み方
■銘柄選びは驚くほどシンプルに
■思惑通り株価が上昇したら素直に利益を確定させよう
5章 急落に負けない利益サイクルのつくり方 ~急落は恐れるものではなく、期待して待つもの~
■悲劇は誰にもやってくる
■最後の最後にジョーカーを引く投資家
■突如の急落――「何も考えられない……」
■なかなか買えない相場が出遅れ感をあおる
■急落なのに大商い
■下げるべくして下げるときがある
■行き過ぎも相場、反動もまた大きい
■急落はいつも突然襲うと感じるが…
■本格調整後のチャンスをものにするために
■急落! さて、なにをするか
■相場の異常な歪みにも目を配ろう
■誰の目にも明らかな加熱相場だが…
■燃え盛る相場をフイゴで煽ぎ、縮んだ相場に水を差す
■週刊誌のタイトルから見えてくる投資家心理
■アオリ記事に腹を立てる前に
■投資家心理を映し出す鏡
■メディアの論調からトレンドを読もう
■急落は恐れるものではなく、期待して待つもの
★巻末《黄金袋とじ》 ネット連動「超厳選30銘柄」145
~読者のトレードをフォローする特設サイトのID・パスワード付~
好むと好まざるとにかかわらず、巨大な金融マーケットの一員として、これから“狙われる世代”に突入する50代のための株式投資実践術です。
本編では2012年11月にスタートして2013年7月の参院選に至る“ひと相場”を題材にして、個人投資家の投資行動をつぶさに分析。 右肩がりの上昇トレンドが約半年にわたって継続したと思ったら、5月末には突如急落。乱高下を繰り返しながら、上昇幅の約半分を下げる大幅調整に発展しました。そこから参院選に向けて出直るという相場展開のなかで、著者が、勝つ確率の高い投資タイミングをいかに捉え、利益確定売りをどう実践提案してきたか、さらに急落を苦もなく乗り越える方法論についてわかりやすく解説しています。 そして、「儲ける投資家」と「損する投資家」に色分けされる投資習慣と投資心理を徹底比較。その違いから浮かび上がる「資産をつくる株式投資」の最良のシンプル・スタイルを提案します。
【巻末には読者のトレードを特設サイトでフォローする「黄金袋とじ~厳選銘柄」を掲載。読者限定のID・パスワード付です。】
【前書きより】
はじめに――復活した日本株でシンプルに儲けよう
本日、7月21日、参院選です。 選挙結果はまだ判明していませんが、株式市場は選挙前から、自公与党の圧勝による“ねじれ解消”を織り込みながら株価を上げてきました。直前の日経平均は1万5000円の手前まで戻したところで失速して、現実の参院選を迎えることになりました。 選挙後は、自民党の単独過半数でないかぎり、いったん調整(下げ)局面を迎える可能性が高いと予想できることから、それに備えて、今週(選挙直前週)、会員投資家に向けて、「手持ち株に利益をとれるものがあれば選挙前に利益確定を優先」というメッセージを発信しました。 そして想定通り下げがあれば、ふたたび買いチャンスとなると付け加えました。 個人的な話で恐縮ですが、この参院選というタイミングで、「利益確定売り優先」というアドバイスを送ることができたことに、ちょっとした達成感を感じています。昨年(2012年)11月末に、日本株復活のシナリオを描いて個人投資家に向けて発信した際、相場の区切りとなる目安を2013年の参院選と位置づけたからです。 今年春から執筆をはじめた本書の原稿の締め切り時期についても、この参院選のタイミングに設定してもらいました。今回の上昇トレンドのスタートから区切りとなる参院選までの一部始終を本書の素材として活用できると考えたからです。 選挙後の日本株の動向は、ここを境に新たなシナリオのもとに可能性を検討することになります。今後の日本株の動きを検討するうえで、どんな視点が重要になるかについて、まずここで触れておきたいと思います。
株価チャートを過去にさかのぼって、高いところから俯瞰して眺めてみると、時々新しい発見があります。
・98年秋~2000年春(18カ月) ・2005年夏~06年夏(12カ月) ・2012年11月~13年7月現在(10カ月~)
箇条書きしたこの時期、月数には長短がありますが、日経平均がよく似た急騰ラインを描いています。いったいこの時期になにがあったのか、出来事を振り返ってみると、こんなことに気付きます。 いずれも、国内を見渡せばさまざまな難問を背負った時期ですが、世界の目線で見たとき、日本の政治に強力なリーダーシップの台頭が期待された時期、つまり日本の政治に安定感が高まった時期と重なります。
・小渕恵三内閣~就任当初は、超低支持率だった上に米国でも“冷めたピザ”などと酷評されました。しかし、公明党との連立を実現して政権運営は安定。総額42兆円におよぶ巨額の財政政策を発動したほか、日米ガイドラインなどの重要法案も次々と成立させました。しかし残念なことに在任中に脳梗塞で倒れ帰らぬ人に。 ・第三次小泉純一郎内閣~郵政解散での圧勝により政権基盤は盤石に。懸案の郵政民営化法案を成立させました。また第一次内閣では不良債権処理を完了させるとともに、りそな銀行に公的資金を注入して実質国有化。これが世界に向けて銀行は潰さないという強いメッセージとなり、以後世界の資金が日本市場に向けて動き始めます。 ・第二次安倍晋三内閣~参院選圧勝によりねじれ解消(まだ確定していませんが)。政権基盤の強力な内閣が誕生するのは小泉政権以来。フィナンシャルタイムズは選挙前の報道で長期政権への安心感が高まることについて「値千金」と評しています。
こう考えてみると、今後もここまで相場を牽引してきた外国人買いの動向がカギを握ることに変化はないでしょう。世界の視点で安倍政権を見たとき、どれだけ魅力的な政権運営を維持できるか、つまり成長戦略の具体的な進展具合が、日本株の行方を左右する可能性が高いでしょう。
さて、最近、個人投資家の皆さんと話をしていると、こんな話をよく聞きます。 「手のひらで実感できるような投資対象が、なかなか無い」 先物取引などのデリバティブを筆頭に投資信託などの金融商品なども、コンピューター技術の高度化により開発される金融商品の構造が複雑化して、個人投資家が全体像をすんなり把握できない金融商品が増えています。 FX(外国為替証拠金取引)の自動売買システムなどはその象徴でしょう。箱の中でどんなシステムがどう働いているか知る由もありません。組み込まれたシステムにしたがって、高頻度でしかも高速売買を繰り返します。なにをどう判断して、どんな取引をしているかさっぱりわからないけれど、システムが稼いでくれるのを信じるのみ、といった自動システム売買法が次々と生み出されています。 「年を取った、ということでしょうか。頭の柔らかい若い人なら、すんなり受け入れることでも、なかなか……。株はその点、わかりやすいですよね」 日本株の復活とともに、筆者の周辺でこんな発言も耳に届くようになりました。たしかに、株式投資は単純です。安いところで買って、高くなったら売るというシンプルな作業が利益を生みます。ただ、この当たり前の投資行動が、なかなか実現できないのですが……。 2012年11月からスタートした今回の上昇相場で、個人投資家は多くが出遅れています。参院選が終わり、おそらく今後、いったん調整場面を経たあとの上昇過程で、個人投資家が幅広く株式市場に回帰するのではないかとにらんでいます。 大局上昇トレンドは、市場に参加する投資家にとって勝つ可能性が高い相場環境です。しかし、だれもが勝てるわけではありません。というより、個人投資家の多くが上昇トレンドの終盤(天井圏)で高値つかみをしたり、あるいは売り損なって、大きな損失や評価損を抱えてしまいます。 現実に、5月下旬から6月上旬にかけて急落した際、個人投資家の周辺では、いつも通りの悲惨な光景が繰り広げられました。上昇トレンドという気安さに依存すると、大やけどを負うことになります。
本書は、『~50代からの~』と読者を年齢で限定するタイトルを付けさせてもらいました。理由は50代が、これから“狙われる世代”に入るからです。証券会社に銀行、そして生命保険に不動産運用会社など、資産運用を目指すあらゆる会社にとって、あなたは格好のターゲットです。残念ながら、彼らは彼らのために仕事をしているのであって、あなたの資産を殖やすのは二の次です。 そのあたりの警告と新たな提案を試みる主旨で、2012年6月には拙著『100人中99人にマイナスが分配される時代の脱・常識「資産運用」』を刊行しました。株式にかぎらず資産の運用を幅広く考えている読者には、こちらも参考にしていただけるでしょう。 年金崩壊に長寿リスク――。長生きを賄うだけの費用がどれだけかかるのか、漠然とした不安感が重くのしかかる時代です。 そんな環境で、あなたが復活した日本株で資産を殖やそうと考えるなら、まずファンダメンタルズだ、テクニカル分析だとややこしいことを考える前に、もっと大切なことがあることに気が付いてください。 株式投資で勝つための唯一最大のテーマは「安く買って、高く売る」という課題です。この一点をクリアするということは、資産づくりの株式投資を丸ごと手に入れるに等しいと考えます。 著 者